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相談室便り バックナンバー48

受験の心構え ~最大限の力を出すには~

 
緊張したとき…
 
 大学入学共通テストが近づいていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。受験に限らず面接試験や部活の大会など、本番で緊張したときにどうすればいいのか?という相談を受けることがあります。
 緊張してくると、ドキドキするだけではなく、手汗や震えが出たり、お腹をくだしたり、過呼吸になったり、さらには頭が真っ白になってしまう人もいるかもしれません。そのように緊張したときでも、最大限の力を発揮するにはどうしたらいいのでしょうか。


心と身体の矛盾
 
 緊張状態と向き合うには、まず自律神経の仕組みを理解する必要があります。自律神経は交感神経(緊張状態)と副交感神経(リラックス状態)に分かれます。緊張して交感神経が優位になると、心臓の動きが活発になって脈拍が上がり、血管が収縮して血圧が上がり、気管支が拡張して呼吸が活発になります。エネルギーの消費が増大してきて、いわば戦闘状態になるわけです。
 当然、身体にもいろんな形で緊張状態が表れてきますが、発汗や震え、過呼吸などが出てきたとき、それを否定し、抑えようと意識すると、無意識の身体との間に矛盾が生じ、余計にパニック状態になることがあるようです。
 たとえば発汗はクールダウンさせる作用がありますし、震えは緊張で凝り固まった身体をほぐす作用もあります。それなのに汗が出たことに焦ると余計に汗が出てきたり、震えを止めようとすればするほど余計に震えが気になったりします。緊張し過ぎて頭がぼーっとするのは、頭をフル回転し過ぎて、情報処理できなくなるパニック状態、つまりキャパオーバーのサインであり、心と身体を守り、リセットする効果もあります。


逆説的アプローチ
 
 したがって、症状が出てきたときは逆に汗を出そうとしてみたり、身体を震わせてみたりして、あえて肯定することによって、矛盾が解消され、逆に症状が治まってきたりすることがあります。それを心理療法では「逆説的アプローチ」と言います。
 緊張するとお腹をくだす人がいますが、脳内の神経伝達物質の多くは腸で作られているように、腸は第二の脳(セカンドブレイン)と呼ばれるほど、脳と密接な関係があります。 
 緊張のホルモンが分泌されて腸の動きが激しくなると、消化物が早く腸を通過してしまうので、水分が吸収されず、お腹をくだしてしまうという説があります。また、緊張すると食欲がなくなる人もいます。これらの症状は、戦闘状態のときは消火活動にエネルギーを費やしている場合ではないと身体が認識しているからかもしれません。
 緊張状態はいわば緊急事態です。緊急事態に日常生活を当てはめようとすることで矛盾が生じてきます。緊張が胃腸に表れやすい人は、無理に食べようとせず、果物やナッツ、おかゆなどの軽食にする、あるいは、あえて水分だけにして受験に臨むというのもありかもしれません。自分の体質や状態に合わせた対処をしましょう。 


目の前の課題に注目する
 
 緊張状態になると周囲に過敏になり、視野が狭くなる傾向があります。それは目の前の敵と戦わなければならないからです。視野が狭い状態で身体の症状に注目すれば、症状がよりクローズアップされてきて、余計に不安や緊張が感じられてしまうわけです。
 しかし、視野が狭くなるということはそれだけ集中力が高まっていると考えることができます。ある調査によると、テストで緊張した群と緊張しなかった群を比較すると、緊張した群の方がテストの点数はよかったという結果が出ています。
 以上のことから、緊張したときは身体の症状ではなく目の前の課題に注目すること。受験なら問題文、試合なら対戦相手に焦点を当てましょう。そうすれば、症状が気にならなくなり、より戦いに集中できるようになるでしょう。緊張状態をより肯定できれば、自分の力を最大限発揮することにつながり、結果にもつながってくると思います。
 

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