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相談室便り バックナンバー50

 心の天気予想図 ~心の天気がくもったら…~


マイナス思考とさよならしたい
 
 新たな環境になじめず、気分が落ち込む、やる気が出ないなどの症状を「五月病」と言うことがありますが、皆さんは五月病にはなっていませんか。
 気分が落ち込んだときに明るくするにはどうすればいいのか。そんな質問をされることがあります。物事を前向きにとらえられればどんなに人生が楽しいだろうと思うし、プラス思考で考えれば結果もプラスになるのはわかっている。でも、頭ではわかっているけど身体や気持ちがついてこない・・・。そんな思いをしている人もいるかもしれません。
 

天気と気分
 
 実は暗い気分のときに、無理に明るく振る舞おうとしても、理想(プラスのイメージ)と現実(マイナスの現状)のギャップから余計にストレスを抱えてしまうことがあります。 
 気分が落ち込んでいるときは、頭にモヤモヤした雨雲が立ち込めてきて、しばしばその雲 を振り払いたくなります。しかし、それはまさに雲をつかむような話になります。つかむことができない雲をつかもうとすることに、エネルギーが消費されると、どんどん心が疲れてしまうようです。
  
  
プラス思考になるには
 
 天気には雨の日もあれば晴れの日もあります。人生には泣きたいときもあれば笑いたいときもあります。マイナスにマイナスをかけるとプラスになるように、気分が雨の日はいっぱい涙を流し、悲しみにひたってみる。晴れの日は大いに笑って過ごす。気分が曇り空の日は、雲をふわふわそのまま浮かべておく。     
 頭に浮かぶ雨雲を振り払おうとしているような状態を、森田療法という日本の伝統的な心理療法では「とらわれ」といいます。どんよりした気分にとらわれるのではなく、ありのままの事実を受け入れ、エネルギーを目的に向けて活動していくことを勧めています。そうすると、いつの間にかとらわれから解放され、達成感や充実感を得られ、気分が晴れてくるようになります。
 

努力する快感
 
 喜びや快感を得たときには、脳内からドーパミンという神経伝達物質が出てきます。そのドーパミンは今までよりも少し高いレベルの課題に挑戦して、それを乗り越えたときによりたくさん出るようになるそうです。
 だから一流のスポーツ選手は厳しい練習に耐えられます。だから一流の科学者は難しい疑問を明らかにしようと一生懸命研究に励むことができます。目的に向かって努力することが苦痛ではなく快感になってくるのです。
 

心が晴れるには
 
 目に見えない気持ちはかけ算してじっくり感じてみる。目の前にある課題には足し算して少しずつハードルを上げていく。ストレス学説を唱えたH・セリエは「ストレスは人生におけるスパイスである」と言います。ストレスがあることで味わいのある人生を過ごすことができます。もちろん、無理な課題や過度のストレスは避けた方がいいですが、少しずつストレスを乗り越える楽しみ方がわかるとどんどんドーパミンを出すことができます。
 誤った快感を得た後は空虚感が残り、心地よい快感を得た後は充実感が残ります。たとえコロナ禍で行動が制限されていても、気分に惑わされることなく、目的に向かって、できる範囲でできる限りのことをしてみること。そうすると、どんよりした曇り空よりもさわやかな晴れの日が続いてくるでしょう。心の天気は、今ここで、何を感じ、何をするかで予想できるようです。

 


 

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