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相談室便り バックナンバー51

   情報化社会の歩き方 ~俯瞰して見える世界~


数字で比較しよう
 
 コロナ禍では様々な情報が錯綜して、どれを信用していいのかわからず、不安に感じるという相談を受けることがあります。そのようなとき、どのように情報を見極めたらよいのでしょうか。
 まずは数字で比較し、感情よりも思考を優位にすることで、冷静さを取り戻すことができます。2020年の人口動態統計によると、日本全体の死者数は2019年より8,400人減少し(11年ぶりに減少)、例年10万人ほどになる肺炎死者は17,000人も減少しました。インフルエンザは例年1,000万人が感染し、関連死が1万人、直接死は2019年が3,575人、2020年が954人でした。
 一方の新型コロナは、症状のない人を含めた“陽性者”が23万人ほどで、死者が2020年は3,466人でした。しかも、死因を問わずPCR検査で陽性反応が出ればコロナ死で数えられているので、直接死の数としてはかなり少なくなるでしょう。また、欧米と比べても日本の死者数はかなり少ないわけです。
 
 
不安にとらわれる心理的メカニズム
 
 人は不安や恐怖を抱えているときは視野が狭くなる傾向があります。そのような状態で、メディアによって切り取られた恐ろしい情報に注目し、さらに不安や恐怖を喚起されると、また視野が狭くなるという悪循環に陥ってしまうことがあります。
 ある情報を人に植え付けるには、①クローズアップして印象づけること。②不安や恐怖を喚起すること。③閉鎖的な環境を作ること。④繰り返し刷り込ませていくことなどの方法があります。
 隠れた所にバイ菌が潜んでいる!といって洗剤を売る商法のように、切り取ってクローズアップし、おどろおどろしい効果音や冷ややかなナレーションをつけ、ステイホームという閉鎖的な空間の中で、毎日のようにニュースやワイドショーで見聞きすると、どんどんその情報にとらわれてしまいます。人はその情報に「臨場感」を得られると、その情報空間に吸い込まれてしまうのです。


二つ以上のストーリーを聴こう
 
 真実は二つ以上のストーリーを聴かなければわかりません。両論併記せず、他に相対的な判断基準がないと、その情報だけを絶対視してしまいます。なおかつ、不安や恐怖を感じているときは、わらにもすがる思いで信じやすくなります。ですから、TVや新聞だけではなく、SNSやユーチューブ、そして何よりも本で調べて、色んな見方を味方につけましょう。
 スウェーデンはロックダウンせず、ほとんどノーマスクでしたが、イギリスなどよりも人口当たりの死者数は少ない結果になりました。TVではワクチンの効果は報道していても、接種後の被害や変異株へのリスクについてはあまり報道されていません。また、海外で起きている大規模な反自粛デモ、国内での自殺増加についてもあまり取り上げられません。TVが注目していない情報にも注目することで、バランスを取っていくことが必要なのかもしれません。
 
  
俯瞰してみよう  
 
 不安や恐怖を感じて視野が狭くなっていたら、逆に俯瞰して全体を見渡してみます。人類の歴史を振り返ると、ウイルスが人類の進化に一役買っていること、世界経済を眺めると、コロナ禍でもビリオネア(10億ドル以上の資産を持つ人)が大幅に増え、利益を得ている人たちがいることなどがわかってくるかもしれません。
 人はそれぞれ自分の立場でものをいいます。立場が人を作ります。TVに出ている専門家がどのような立場で発信しているのか。政治家がどのような立場で政策を決定しているのか。その利害関係や動機を考慮して、情報を受けとることも大切になってきます。
 そうやって、不安を煽るTVの情報空間から抜け出し、日常の風景を眺めてみると、マスク姿の人がいても、くしゃみや咳をしている人、風邪を引く人がめっきり少なくなったことに気づくかもしれません。かつては、クラスの半数近くがインフルエンザに感染し、学級閉鎖になった年もありましたが、コロナ禍ではいかがでしょうか。
 俯瞰してありのままの事実を見つめることで、不安や恐怖のとらわれから脱却することができます。そして、信頼と安心をもたらす情報を見つけられると思います。

     *俯瞰(ふかん)… 高い所から見下ろし、広い視野で全体を把握すること
       

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