相談室便り バックナンバー57
類は友を呼ばない?
~ 多様性を楽しむ友人関係 ~
〇仲良くしたいけれど…
新年度が始まって一か月以上がたちましたが、新しいクラスはいかがですか。新しいクラスで仲のいい友人ができたけど、だんだん気まずくなってしまって、息苦しさを感じるという相談を受けることがあります。
自分らしさを発揮したいけれど、目立ちたくないし、争いたくもないので、自分だけ浮いてしまわないように…変なことを言って嫌われないように…と周囲に合わせようと努力します。しかし、合わせる努力をすればするほど、逆に気まずくなったり、息苦しさを感じてしまったりすることがあるのはなぜでしょうか。
〇息苦しさの正体
「類は友を呼ぶ」ということわざがあるように、気の合う友だちを作るには、同じような趣味や価値観を持てれば、自然と友人は集まってきます。けれども、自分の考えに共感してほしい、自分の趣味を理解してほしいと、相手に同じものを求めすぎると、すれ違うことも増えてきます。
相手に合わせることで、たとえ楽しいひと時を過ごすことができても、その空気を壊さないように気を遣いすぎると、本音で話せなくなったり、嫌われないように我慢を強いられたりするようになります。
つまり、友人関係がしんどくなったときに感じる息苦しさの正体は、みんなが一緒でなければならないという「同調圧力」なのかもしれません。
〇多様化した友人関係
物事を同じ様子や状態にそろえることを「画一化」といいます。確かに同じような人たちで集まれば、友人関係は安定しているように見えます。しかし、画一化が進むことによって、話すことがマンネリ化してしまったり、違う趣味や価値観を持っている人との壁ができてしまったりすることがあります。
その一方で、お互いの趣味や価値観を尊重できる友人関係は「多様化」しています。勉強のできる人とできない人、にぎやかな人とおとなしい人、マスクしている人としていない人など、違う能力や性格、価値観の人を認め合える雰囲気があります。一見、不安定に見えますが、ありのままの自分を出しやすいので、気持ちが楽になります。
〇楽しいクラスにするには
「多様性の科学」の著者マシュー・サイド氏によると、画一的な組織では盲点に気づけずイノベーションが生まれにくくなり、生産性を下げてしまう恐れがあるそうです。だから、自分とは異なる人々と接し、なじみのない考え方や行動に触れることに価値があるといいます。
つまり、多様性のあるクラスのほうが、文化祭では面白いアイデアが生まれやすく、新たな勉強法を取り入れられれば学習効率も上がるかもしれません。それぞれの持ち味を発揮できれば部活のチームも強くなるでしょう。欠点を補ってくれる異なる人が自分を成長させてくれるわけです。
異なる文化に触れるから旅行を楽しめるように、異文化理解が友人関係を楽しむカギになります。違う趣味や意見の人の話を聞いてみる。普段しゃべらないクラスメイトにも話しかけてみる。そうやって、異なる人を受け入れる多様性が新鮮な空気を呼び込み、ひらめきや息抜きをもたらしてくれます。友人関係に息苦しさを感じたら、友人との違いをたくさん認めて、楽しいクラスにできたらいいですね。