相談室便り バックナンバー58
すごい友達のつくり方
~学校でできる「推し活」~
自分を大切にできない…
ある調査によると、日本の若者は他国と比べても自己肯定感が低い傾向があるそうです。自己肯定感が低いと、「私なんて…」「どうせ~だから」といった発言が多くなり、欠点ばかりが気になってきます。自分に価値がないような気がして、たとえ人にほめられても素直に喜べません。また、あと一歩チャレンジする意欲も湧いてきません。
自己肯定感が低くなる一因に「自尊心」の低さを挙げることができます。自尊心とは自分を尊重する心、大切にする態度のことを言います。自分のことを大切にできないと、すぐ自分にダメ出ししてしまったり、逆に自分のことを棚に上げて人を非難してしまったりすることがあるかもしれません。
自尊心を低下させる嫉妬心
自尊心が低い人によく見られるのが「嫉妬心」です。自分よりも優れている人や幸せそうな人をねたましく思い、ついその人の評価を下げたくなります。芸能人やお金持ちがTVやネット上でしばしばバッシングの対象になる要因として嫉妬心が挙げられています。
嫉妬心の強い人は自分よりも高い地位にいる人の足を引っ張ったり、下から這いあがってきた人を蹴落とそうとしたりすることで、自分のポジションを守ろうします。つまり、他人の評価を下げることで自尊心を保とうとするわけです。しかし、そのような醜い態度をとればとるほど、そのような自分が嫌になり、さらに自尊心を低下させてしまうことになります。
リスペクトしてみよう
ですから、自尊心を高めるには逆に自分よりも優れている人や憧れの人を探し、リスペクト(尊敬・尊重)してみます。まずは身近な人の「すごいなぁ」と思えるところに注目してみます。自分よりも優れている人を許容できれば謙虚になれます。謙虚になれれば自分のことも許容できるようになってきます。
一流のスポーツ選手は健闘をたたえ合うことができます。負けた悔しさはあっても、それ以上に勝った相手を祝福する心を持っています。なぜならすごい相手に勝ったほうが、さらにすごい自分になれるからです。そういうリスペクトできる気持ちがあるからこそ、一流になれたのかもしれません。
背中を押してくれる
今「推し活」が流行っていますが、それはリスペクトできる人を大切にする活動と言えるかもしれません。推し活は見返りを求めず、その人の役に立つことをしてみることです。推しを応援することで生きる力を得ることができます。
学校生活でも友人のすごい所を素直に応援できるようになると、嫉妬心を持つ必要がなくなってきます。すごい友人の背中を追いかけることで、前向きな目標を持つことができます。また、その目標に向かって励み、背中を見せ合うことで、切磋琢磨することができます。高め合うことができれば、自分より優れている人は自分を成長させてくれる大切な人になるわけです。
日々の「推し活」でお互いの自尊心を高められれば、あと一歩チャレンジする勇気が出ないときには、その大切な友人がきっと後押ししてくれると思います。