臨床心理士・公認心理士のカウンセリングルーム ワ・プラス| うつ、神経症、引きこもり

心にトラブルを抱えたとき、心の専門家が改善策をご提案いたします

ホーム ≫ 相談室便り バックナンバー63 ≫

相談室便り バックナンバー63


ひとりでいられる力
~孤独がもたらす自由と自立~

 


 

ぼっちになりたくない

 修学旅行で班になったり、授業でペアを組んだりするとき、一人ぼっちになるのが不安であるという相談を受けることがあります。確かに一人はさみしいですし、一人で生きていくのが難しいので、人には「見捨てられ不安」が根底にあります。ですから、グループを作って安心感を得たいというのは多くの人にあるのかもしれません。
 しかし、ひとたびグループ内の関係がうまくいかなくなったとき、そのグループから出たくなることがあります。それでも、一人ぼっちになるのは嫌なので、言いたいことも我慢してなんとかそのグループにとどまる努力をします。
 そうやって、グループから出たいけれど、一人ぼっちになってしまうから出たくないというジレンマの中でストレスを抱えるようになります。一人ぼっちの孤独は不安だけど自由であり、グループの束縛は安心だけど不自由になります。そのような依存と自立の葛藤を抱えたときはどうしたらいいのでしょうか。


ひとりでいられる力

 
英国の精神科医D・W・ウィニコットは、安心して孤独を楽しんでいられる力を“一人でいられる力”と言いました。それは見守れていた体験や安心できる他者の存在が心の中にあること。そして、一人でいることが「見捨てられること」ではないと感じられることが重要であると言います。
 それは誰か他の人と一緒にいるときでも「ひとりでいる」という体験です。グループにいても見捨てられ不安が喚起されれば、仲間外れにされているように感じたり、攻撃的になったりすることがあります。ですから、一人でいても、グループでいても、一人でいられる力を身に付けられると、良好な友人関係につながるのです。


孤独を楽しむ

 
ひとりでいられる力を育むには、まずは見捨てられ不安を受け入れることです。さみしさを感じたら、その気持ちをしっかりと認めてあげます。そして、孤独は自由であると前向きにとらえてみることです。
 たとえば、好きな音楽を流す、好きなもの食べに行く、公園を散歩して自然を感じるなど、一人でくつろぐ時間を楽しんでみます。孤独という自分と向き合う時間を前向きにとられられると自己実現のチャンスになります。過去に自分を安心させてくれた人を思い出し、その人になりきって、今の自分に向けて言葉をかけてみるのもいいです。ちょうどよい人との距離感を観察して味わってみることもできます。
 孤独になったときに見捨てられ不安でもがくのではなく、自分と向き合う時間にすることができれば、自立心を育みつつ、自由を満喫させてくれるものになります。


みんなでいられる力

 
そうやって、一人でいる時間を受け入れられるようになると、みんなでいられる力もつくようになります。グループの話題に入れなくても落ち着いて過ごせるようになり、そっけない顔をされても嫌われているのではと疑うことがなくなり、友人の顔色や反応を気にして、落ち込むことや振り回されることが少なくなってきます。
 ひとりでいられる力がある人は、固定化されたグループにこだわらず、好きなときに好きなことのために好きなグループを作ることができます。ですから、仲間外れにされたと感じることもないし、仲間外れにすることもありません。好きなことを楽しんでいるからです。そう考えると、好きなことができないときに見捨てられ不安を感じやすいのかもしれません。それぞれが一人でいる時間を尊重して自由を楽しめたら、みんなといる時間はもより楽しくなると思います。




 

東京23区・千葉西部への
出張カウンセリング可能

〒105‐0013
東京都港区浜松町2-2-15
浜松町ダイヤハイツ2F

080-4343-5560

受付時間/9:00~19:00
日曜定休
開室日/土曜


カウンセラー紹介

ブログカテゴリ

モバイルサイト

カウンセリングルーム ワ・プラススマホサイトQRコード

スマートフォンからのアクセスはこちら