相談室便り バックナンバー68
格差と差別のない学校づくり
~溝を埋め、橋渡しする黒子のエリート~
格差社会の到来?
近年、様々な格差が社会問題になっていますね。男女格差、世代間格差、地域格差、そして、所得格差です。以前、学校社会においても一時期「スクールカースト」「一軍、二軍」という言葉が流行りました。まるで身分制度のようで、決していい言葉ではありませんね。
人が集まるところには多かれ少なかれ力の差は生じますが、その差が広がって溝ができると分断が起きます。分断されたクラスで協調性が欠けてしまえば、文化祭や体育祭などのイベントはつまらなくなります。そして、行きづらい学校、生きづらい社会なってしまうでしょう。その溝を乗り越え、一体感のあるクラスにするにはどうしたらいいのでしょうか。
溝によって生じる弊害
人にはいろんな能力があります。生まれつき男性のほうが体力はあるので、力仕事をする人の割合は男性が多いかもしれません。女性のほうが共感能力は高い傾向にあるので、接客には向いているかもしれません。ただ、それは割合の問題であって、女性でも体力のある人、男性でも共感能力の高い人はいます。
社長と新入社員が同じ給料では会社が成り立たないように、努力した人や貢献した人がより多くの報酬や評価を得るのは当然のことです。しかし、格差が固定化されて努力によって超えられない溝ができれば、社員のモチベーションが低下し、生産性は落ち、結果的にその会社の業績は落ちるかもしれません。同じようにチャンスや目標を共有し、協力できなければ、クラスも会社もよいパフォーマンスを発揮できなくなるわけです。
溝を埋めるコミュニケーション
したがって、クラスや会社などの組織においては、能力や待遇に多少差があっても、深い溝を埋めるためのコミュニケーションが求められます。それは人と人との橋渡しや潤滑油になる役割をする人たちです。
学校を休みがちな子にノートを見せてあげる。勉強がわからない子に教えてあげる。一人ぼっちの子に声をかける。話題についてこられない人には話をふってみる。そうやって、孤立した人を助けてあげられる人がよいクラスづくりには欠かせません。
過ごしやすいクラスは溝がないので、いつもの仲良しグループで固まらず、それぞれのグループを自由に往き来できます。心が開かれた風通しのよいクラスです。そして、いつもクラス全体のことを考えて行動する人が多くなります。
橋渡しできるエリート
エリートとは社会における指導的な役割を担う人のことを言います。クラス全体のこと、社会全体のことを高い所から見渡し、分断や差別が起きないように、溝を埋められる人なのかもしれません。また、エリートとは優れている人のことを言います。「優」は優しいとも読みますが、いじめや差別をほっておけない優しい人が、本当の意味でエリートなのかもしれません。
集団で取り組むときはまとめ役となる学級委員や実行委員などのリーダーが必要なように、分業と協働のためにはヒエラルキー(階層)が必要になります。しかし、それはクラス全体の幸福、公共の福祉につながるものであって、リーダー個人のエゴであってはならないでしょう。
自分さえ大学に受かればいい、自分さえお金持ちになれればいいというエリートではなく、クラスや社会の溝を埋めて橋渡しできるエリート、分断をつなぐ黒子のエリートが増えたら、クラスも社会もよくなると思います。
親子間の溝、友人間の溝、先生との溝ができたときは、スクールカウンセラーも黒子として、その溝を埋め、橋渡しするお手伝いができれば幸いです。