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何のために勉強するのか? ~スポーツで考える勉強する意味~
オリンピックで盛り上がった夏休みが終わり、また、勉強の日々が始まりますがいかがお過ごしでしょうか。勉強とは「勉(つと)めて、強(し)いる」と書くように、強制的にやらされているようにも感じもしませんか。私は中学生のとき、「何のために勉強しているんだ?」「こんなことして将来の役に立つのか?」と日頃からよく疑問に思っていた覚えがあります。それでも、自分が大人になってみると、もうちょっと勉強しておけばよかったと後悔することもありました。
そこで、今回は勉強する意味について、オリンピックにちなんでスポーツの観点から考えてみたいと思います。
「基礎学力」は「基礎体力」作り
勉強をスポーツにたとえるなら、学校の勉強は基礎体力をつけるようなものです。ランニングや筋トレは退屈で地道な作業に思われるかもしれませんが、基礎体力がなければ、どの格闘技や球技でもいい成果は出せませんよね。マラソンや重量挙げのように体力づくりが競技になっているのもあり、数学の教師や数学の研究者になる方がいるのと同様に、それも極めれば面白くなってきます。学校での勉強というものは、将来、自分が好きな学問をするため、自分の仕事に生かすため、スポーツでいえば基礎体力を作っていると言えます。
「型」を身につける
どんなスポーツにも基礎となる構えがあります。たとえば、空手では反復して「型」を身につけることで、応用技ができるようになります。バスケットやバレーボールでもフットワークなどの基礎の繰り返しをどれだけするかで、上達度が変わってきます。同じように、勉強で覚えた「公式」や「法則」があるからこそ、それを応用して、新しいことを考え出すことができるわけです。
そして、型があるからこそ、型破りなおもしろい発想もできるのです。型を身につけるのは、退屈な作業に思えるかもしれませんが、日常生活や研究、仕事に応用してみて、初めて、基礎的な勉強する意味がわかるようになってきます。
将来から逆算して考える
そうはいっても、将来学びたいことや、なりたい職業が決まっていない人がほとんどではないでしょうか。やりたいスポーツの種目が決まってないのに、ただ走って体力をつけなさいといわれても、走る気にはなれませんね。どのような鍛え方をすればいいのか、まずはぼんやりとでも決めていく必要があります。
理系か文系か、人と接する仕事かモノに接する仕事かなど、漠然とでもいいので、将来から逆算して、今ここで何をすればいいのか考えてみましょう。あるいは、好きこそものの上手なれというように、好きな科目や興味のある分野だけでも一生懸命取り組んでいれば、自分らしい方向性が見えてくるでしょう。
疑問から知恵が生まれる
勉強が基礎ばかりで退屈に感じたときは、もっと応用になるもの、知識を知恵として活かすと面白くなってきます。日本の学校教育では、どれだけ暗記したかで能力を測り、それらを筆記テストという形で評価する傾向がありますが、コミュニケーション能力や自由でユニークな発想力などは、テストでは評価されにくいのです。クイズ王になりたい人は知識のある方が、公務員になりたい人は筆記試験に強い方が有利かもしれません。
しかし、売れる商品を作るにはどうしたらよいか、リーダーシップを発揮できる経営者になるにはどうすればよいかなどの力は、皆さんの創造力や発想力にかかっています。スポーツにおいても、ただ体力づくりをやみくもにするのではなく、チームが勝つための戦略ややる気を出すにはどうすればよいかなど、それを考えるのは、基礎体力ではなく知恵や応用力の部分です。
その知恵や応用力が生まれるには、まずは疑問を持つことが大切です。疑問があるほど頭がいいと言います。「なんで勉強するの?」「なぜ空は青いの?」日常生活における素朴な疑問を大切にすれば、自然と学校で習ったことが活きてくるでしょう。