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イライラしたとき読む話
これから暑い季節がやってきますが、湿気や暑さでイライラすることはありませんか。ちょっと熱くなるならいいのですが、カッとなってキレて、怒りをコントロールできずにいると、人にきついことを言ってしまったり、物にあたってしまったり、後悔することも少なくありません。瞬間湯沸かし器のように沸騰して、周囲の人をやけどさせる前に、冷静になれるようにクールダウンしたいですね。今回はカッとなったときの対処法について書きたいと思います。
「怒り」と「憤り」
怒りをコントロールするには、まず自分が怒っていることに気づく必要があります。怒っていることを自覚しないのは、ブレーキのない車を運転しているようなものです。怒るのはいつ、誰といるとき、どんな状況でなるのか、振り返ってみましょう。その傾向がわかれば、また怒りが湧いてきたとき、暴走する前にブレーキをかけることができます。そして、怒りは身体のどこで感じるかによって対処も変わってきます。
よくカッとキレてしまうことを「頭に血が上る」「頭にくる」といいますが、怒りが頭の方へ瞬間的に湧いてきたら、キレる可能性があります。頭にきたときは、後先考えずに怒ってしまうので、あまりいい結果は生まれないようです。また、その出来事を頭でとらえて繰り返し考えていると、怒りがなかなかおさまらなくなります。
一方で「腹が立つ」というように、怒りをお腹で感じるときもあります。腹の底から怒りが湧いてくるのは、憤り(いきどおり)です。自分の大切な人がひどい目にあったり、真面目にやっているのに理不尽なことを言われたりしたら、憤りを感じますよね。それは「義憤」「公憤」と言って、正義感から湧いてくる怒りで、大切な感情です。
「怒り」はクールダウン
頭に血が上ってきた怒りは、感情的・突発的なものです。よく考えないで怒ってしまうので、言い過ぎて人を傷つけてしまったり、後悔したりすることがあります。頭に血が上ったときは、まず「頭を冷やす」ことをお勧めします。
たとえば、トイレに行く、5秒数える、深呼吸をする・外の新鮮な空気を吸う、飲み物を飲む、何でもいいので変な呪文を唱える(ブリブリ。アヘアヘ。)など気分転換することで、頭に血が上るのをブレーキします。また、興奮しているときは肺呼吸になっているので、お腹にいっぱい空気を入れてゆっくり吐く腹式呼吸にすると、自然に落ち着いてきます。
「憤り」はエネルギーを有効活用
一方で、腹が立ったときの憤りは、腹の底からフツフツと湧いてくるもので、火山のマグマが煮えたぎり、やがて噴火するかのようです。もし爆発したくなったときは、自分が怒っているということを言葉にして伝えてみましょう。怒りの感情を言葉にすることで、モノや人にあたることはなくなってきます。「私は~だ」と主語をつけると、より伝わりやすくなります。
怒りは決して嫌うべきものではありません。人として許せないと思ったときは、大いに怒りましょう。それで相手が自分のことを嫌いになっても仕方ありません。自分が正しいと思ったらきちんと主張すればいいのです。それが頭にくる怒りではなく、お腹から沸いてくる怒り(=憤り)ならば、より分かり合える仲になるでしょう。
怒りはエネルギーの塊です。悔しさをバネに闘争心をかき立ててくれます。名誉挽回で努力する力にもなります。自分の思いを人に伝える力にもなります。怒りは瞬間湯沸かし器のように、いっきに水を沸騰させるくらいのエネルギーがあります。その噴火のエネルギーを有効活用したいですね。