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学習効果を高めるには
労働生産性の低い日本
最近、一生懸命勉強しているのになかなか成績が上がらない…もっと効率よく勉強するにはどうしたらいいか?という相談を受けることがあります。どうすればもっと効果的に勉強することができるのでしょうか。
実はこのような効率性は、生徒一人の課題ではなく日本の課題にもなっています。日本の労働生産性は先進国の中で最下位、OECDの中では21位です。経済大国と言われた日本も少子高齢化で人口が減ってくれば、経済力も弱まってくる恐れが出てきます。
日本人は無駄に時間をかけて会議をしたり、ただ遅くまで仕事をしていたりすれば、その勤勉さが評価されるといった傾向があるのかもしれません。
それは勉強においても言えることです。みなさんはただやみくもに長い時間かけたことに満足してしまうことはありませんか。もしそれで成果が出ていないのなら、学習方法や取り組み方を工夫してみましょう。
生産性・効率性を上げるには
ただやみくもに頑張ってもそこに成果が伴わなければ、効率性や生産性という視点で見るとあまりすごいことではありません。効率性や生産性を上げるためには、いい勉強ができたときにそれを「何時間でできたのか?」を考えてみることです。
ある企業がどんなにすばらしい製品を開発したとしても、コスパ(費用対効果)が悪ければ業績を伸ばすことはできません。勉強においても無駄を省き、なるべく時間や労力、お金をかけずに成果を生み出せるようにすることが効果的な学習方法、さらに言えば日本の経済にも影響してくるでしょう。
無駄をなくす工夫
ヨーロッパの国々では日本よりも休日が多く労働時間が短いのに労働生産性が高い国があります。日本人は休みを取ることに後ろめたさを感じている人が少なくないようです。生徒の中にも勉強時間を削ることに後ろめたさを感じ、だらだらと時間をかけて格好だけつけてしまう人がいます。
参考書は無駄に買ってあちこち手を出さず、厳選したものだけ何度も取り組んでみること。ノートは写経のようにただ書き写すのではなくポイントをまとめ、メモや辞書、リスニングにスマホを活用するなど、無駄を削減する方法はいくらでもあります。何よりも遊びの時間を削るのではなく、遊びの時間を確保するために無駄な勉強をしないようにする発想が学習効率を上げてくれます。
メリハリのある集中
景気が悪いときは無駄な公共事業や天下りを廃止し、新しい市場を開拓し、研究開発や設備投資など必要な所にお金や労力をかけます。勉強も同様に、限られた時間の中で自分の苦手な所、試験に出そうなポイントなどを探し、集中して取り組んでみることです。
勉強は強制されて嫌々やっていても頭には入ってきません。過度な緊張やストレスは脳の海馬にダメージを与えるので記憶力を弱めます。遊びと勉強のメリハリをつけてリフレッシュできれば脳の働きがよくなります。遊び心は創造性や要領のよさにもつながってきます。何よりも集中力を高めることが勉強の質を高めてくれます。
そうやって少ない時間で成果を上げることができたら、今度は時間をかけて取り組んでみます。試験前や受験前の追い込みの時期に集中してたっぷり時間をかけることで最大限の成果をもたらすことができるでしょう。
学習効果を高めるためにも、遊び心やメリハリを大切にして、友人と語り合ったり、部活にエネルギーを注いだり、友人と楽しい思い出という財産を増やすことが、学力という知的財産を増やすことにもつながるのかもしれません。