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感謝と空腹に勝るスパイスはない
GWが終わり、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。休日や旅行・遠足などの話を聞くと、感想は人それぞれです。過去の思い出話を聞いてみても、「嫌なことばかりで、いいことなんか一つもなかった」と言う人がいる一方で、楽しい思い出を懐かしそうに語る人もいます。思い出のとらえ方は人それぞれですね。
満足できない
今の時代、食べることに困る人はだいぶ少なくなりました。しかし、毎日がおもしろくない、なんとなくむなしいなどの訴えを多く耳にするようにもなりました。お腹が満たされても心は満たされない。これは単なるぜいたく病なのでしょうか。甘いジュースをいくら飲んでも、のどの渇きがおさまらないように、のどから手が出るほど、何かを欲しているような状態に苦しんでいるようです。幸せを求めれば求めるほど逃げていく。そんなとき、どうすれば心は満たされるのでしょうか。
内観療法のススメ
日本独自に生まれた心理療法に内観というのがあります。自分が生まれてからに現在にいたるまでの間に、母、父、兄弟、友人などに「してもらったこと」「してあげたこと」「迷惑かけたこと」の三つを年代ごとにひたすら思い出すというものです。一週間泊まり込みで行う集中内観と毎日ノートに書くなどして行う日常内観があります。
この内観をしていると、「してもらったこと」や「迷惑かけたこと」がいかに多く、人に「してあげたこと」があまりにも少ないということに気づかされます内観を行うと、自分中心のむなしい考え方から抜け出し、周りの人のあたたかい愛情を実感できるようになる人が多いようです。
記憶の中の好きな映画を見る
記憶というものをレンタルビデオ屋にたとえるなら、気分が落ち込んでいる人ほど、悲しい映画ばかり選び、現実を否定的にとらえがちになります。確かにそのような経験ばかりの人もいるかもしれません。しかし、たえと少なかったとしても中にはおもしろい映画、感動する映画もあるはずです。それは少ないからこそ価値があるのではないでしょうか。
物事がうまくいっているときは、「~のおかげで」と他人を思いやり感謝することができますが、うまく行かないときほど「~のせいで」と他人をうらみ、責任を押し付けてしまいがちです。逆に「~のおかげで」と考えれば、物事はうまくいき、思い出を振り返る際も、楽しい映画に自然と手が伸びるようになるのかもしれません。
感謝と空腹に勝る調味料はない
相談室に来るある生徒が最近楽しそうです。その子の今年度の目標は「ありがとうをたくさん言う こと」と「よく噛んで食べること」だそうです。どんなに一流のシェフがフルコース料理を作ろうとも、感謝と空腹に勝る調味料はありません。日々の生活に満足できないときは、お腹がペコペコになるまで一生懸命何かに打ち込むことと、感謝してよく味わうことです。すると、思い出も料理も一味違った満足感が得られることでしょう。「ありがとう」と「いただきます」当たり前だけど忘れがちな気持ち、大切にしたいですね。