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「木」になる療法
体育祭が近づいていますが、心と身体の調子はいかがでしょうか。気持ちを前向きにするためには、考え方や環境、生活習慣を変えるなど、様々な方法がありますが、身体を整えることで心を整える方法もあります。
バウムテストという一本の木を描く心理テストがあるのですが、木は無意識の自己像を表すと言われています。心の状態によって木の描き方も変わってくるように、自分が思い描く理想の木をイメージして身体作りをしてみると、気持ちも変わってくるかもしれません。そこで、今回は木にたとえて、身体から心を整えるポイントを4つほどご紹介と思います。
しっかりした幹を作る
まずは、今、流行の体幹トレーニングです。体幹とは身体の胴回りの部分で、木で言えば幹の部分になります。いくらたくさん実をつけようと枝を伸ばしても、幹や根がしっかりしていないと、その木は不安定になるように、いくら部活動でいい成績を上げようとレベルの高い技に挑戦しても、足腰がしっかりしていないと安定した成果は出ません。
また、表面的な筋肉をがむしゃらにつけるのではなく、身体全体をイメージしながら、手足と連動したインナーの筋肉をつけることで、力強い身体ができてきます。しっかりした体幹を作ることで、安定感のある身体で自信を持って取り組めるようになってきます。
深い呼吸をする
二つ目には呼吸です。緊張しているときは肺呼吸になっていますが、リラックスしているときは腹式呼吸になります。お腹の辺りを意識した深い呼吸ができると、木が大地から養分を吸い上げるように、身体全身にエネルギーをみなぎらせることができます。
特に本番で緊張が高まり過ぎると呼吸は浅く身体は硬くなってきます。ほどよい緊張感でリラックスできる人、のびのびと楽しんでやれる人の方が、本番で実力を発揮しやすくなります。また、腹式呼吸ができると脳まで酸素が行き届くので、頭もクリアになってきます。ゆったりした深い呼吸をすることで、身体の力を抜き、心を整えてみましょう。
しなやかにする
そして、三つ目には柔軟性です。どんなに大きく木が成長して枝が伸びても、硬いと強風で折れてしまうように、身体にはしなやかさが必要になってきます。心も身体もボールのようにやわらかければ、ストレスを跳ね返すことができるからです。遊び心や柔軟な発想は創造性やプラス思考を生み出します。また、身体がやわらかければケガをしにくくなりますし、動きにも躍動感がでてきます。
ストレッチやヨガを行うことで、身体を十分にケアしましょう。コツとしては、ゆっくり息を吐いて、じっくり時間をかけて行うことです。痛いのを我慢してやると、返って身体に力が入ってしまいます。イタ気持ちいいところでやめてとにかく継続することが大切です。
脳のスイッチは身体にあります。勉強で息が詰まったときなどは、身体を動かしてスイッチを切り替えてみると、上手に気分転換ができると思います。
まっすぐに伸びる
以上のように、力強い体幹・深い呼吸・柔軟性がそろうことで、しっかりとゆったりと大地に根差した幹と根、しなやかな枝ができてきます。そして、頭が天から吊り下げられているように、まっすぐに姿勢を伸ばすと、身体に中心の軸ができてきます。
中心軸ができてまっすぐ立てるようになると、余分なところに力が入りにくくなるので、肩こりや腰痛も改善されてきます。そして、一流のアイススケートやバレーダンサー、武道の達人のようなぶれない心と身体ができてくるでしょう。
日常生活で気になることがあったら、木になるイメージで姿勢を整えてみるのはいかがでしょうか。無意識は身体に宿っています。気持ちがぶれた時こそ、ぶれない身体を作ることで、心身が整えられ、部活でも勉強でもいい成果が出てくると思います。