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相談室便り バックナンバー7

 心の天気予想図

  
マイナス思考とさよならしたい

 新しい環境になじめず、気分が落ち込む、やる気が出ないなどの症状を「五月病」と言うことがあります。皆さんは五月病にはなっていませんか。気分が落ち込んだときに明るくするにはどうすればいいのか。そんな質問をされることがよくあります。物事を前向きにとらえられればどんなに人生が楽しいだろうと思うし、プラス思考で考えれば結果もプラスになるのはわかっている。でも、頭ではわかっているけど身体や気持ちがついてこない・・・。そんな思いをしている人も多いのではないでしょうか。


天気と気分
 
 実は暗い気分のときに、無理に明るく振る舞おうとしても、理想(プラスのイメージ)と現実(マイナスの現状)のギャップから余計に苦しくなることがあります。気分が落ち込んでいるときは、頭にモヤモヤした曇り空が浮かんできて、しばしばその雲を振り払いたくなります。しかし、それはまさに雲をつかむような話です。つかむことができない雲をつかもうとすることに、エネルギーが消費され、どんどん心が疲れてしまうようです。


プラス思考になるには

 天気には雨の日もあれば晴れの日もあります。人生には泣きたいときもあれば笑いたいときもあります。マイナスにマイナスをかけるとプラスになるように、気分が雨の日はとことん涙を流し、悲しみにひたってみる。晴れの日は多いに笑って過ごす。気分が曇り空の日は、雲をふわふわそのまま浮かべておく。  
 雲を振り払おうと闘っている状態を、森田療法という日本の伝統的な心理療法では「とらわれ」といいます。目に見えない雲をつかもうとするよりも、目の前にあるありのままの事実や課題に意識を向け、そこにエネルギーを集中させることによって、いつの間にかとらわれから解放され、空が晴れてきます。

  
努力する快感


 喜びや快感を得たときには、脳内からドーパミンという神経伝達物質が出てきます。脳科学者の茂木健一郎氏によると、そのドーパミンは今までできている課題ではなく、より困難な課題に挑戦し、それを乗り越えたときによりたくさん出るようになるそうです。だから一流のスポーツ選手は厳しい練習に耐えられる。だから一流の科学者は難しい疑問を明らかにしようと一生懸命研究にはげむことができます。努力することが苦痛ではなく快感になってくるのです。

  
心が晴れるには


 目に見えない気持ちにはかけ算してじっくり感じ、目の前にある課題には足し算して少しずつハードルを上げていく。もちろん無理な課題や過度のストレスは避けた方がよいでしょう。しかし、ストレスは適度に味わうことで快感に変わってきます。ストレスを乗り越える楽しみがわかると、どんどんドーパミンが出てくるからです。誤った快感を得た後はぽっかりと心に穴が空いたような空虚感が残りますが、心地よい快感を得た後は充実感が残ります。
 あるがままを受け入れて、あるがままに取り組んでいくことで、どんよりした雲り空よりも、さわやかな晴れの日が続いていくことでしょう。心の天気図は、今・ここで、何を感じ、何をするかで予想できるようです。


 

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