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心のサインの感じ方
明けましておめでとうございます。正月にのんびりした生活を送っていると、またストレスのかかる場に出るのがおっくうになることはありませんか。特に、三年生は受験を控えており、これからストレスが増えてくるかもしれませんね。そんなときにオススメの対処法を一つご紹介させて頂きます。
インドフルネスとは
今回は仏教の修行法の一つで、ヴィッパサナー瞑想というのが元になっている、認知行動療法の「マインドフルネス」という方法をご紹介したいと思います。マインドフルネスとは、評価や判断をせず、今ここに注意を向け、あるがまま観察し、あるがまま感じていくということです。簡単に言えば、呼吸や感情、感覚、動作などをそのまま実況中継していくというものです。
心身の不調や人目が気になったとき
たとえば、ストレスで胃腸に不快感があって、その苦痛を取り除こうと頭で考えれば考えるほど、その痛みにとらわれてしまい、いっこうに症状が改善しないことがあります。また、人から自分がどう思われているか、人の目ばかりを気にしていると、それが重荷になって自分らしさを発揮できなくなっているときがあります。
そういうときは、身体のどの辺りでそれを感じているか注意を向けてみます。胃の辺りでストレスを感じたら、「ストレス、ストレス、ストレス」とそのままを観察してみます。視線を感じたら「視線、視線、視線」と感じられるものをそのまま実況中継するのです。上手く感じられるようになると、その痛みにとらわれるのではなく、流れていくようになってきます。人の視線も見られているのではなく、自分から見ているように感じられてきて、そのストレスと上手に付き合えるようになってきます。
プレッシャーがかかったとき
この瞑想法はアメリカの大企業の研修やスポーツにおけるメンタルトレーニングにも応用されています。体調不良や対人関係だけではなく、大学受験や入社試験、部活動の大会など、プレッシャーがかかる場面において、実施してみるのもいいと思います。
緊張や不安が高まって心臓がドキドキしてきたら、「まずいぞ、緊張してきた!どうしよう!!」と焦ってそれを取り除こうして空回りするのではなく、感じていることを「ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ」とそのままを実況中継してみます。部活の試合中に不安や緊張で注意散漫になっているときは、目に入っているものをよく観察してみます。たとえば、転がっているサッカーボールを見て、「ボール、ボール、ボール」とあるがまま観察することで、集中力を高めることもできます。
ストレスは無意識のサイン
食事をするときも、マインドフルネスで匂いや色、味をよく感じてみるだけで、味わい深いものになってきます。歩くときも足の裏でしっかりと地面を感じ取ってみると重心が安定し身体の感覚が伝わってきます。
不安や緊張でいっぱいのときほど、身体の感覚や人からの評価などに過敏になることがありますが、それは、もっとあるがままの自分やその状況を観察しなさいという無意識の心のサインであると捉えてみるとよいと思います。
物事を好き嫌いや善悪で裁かずに、あるがまま観察し、あるがまま感じられるようになってくると、ストレスをポジティブに受けとめられるようになったり、今まで気づけなかった能力や出来事に気づけるようになったりすることもできます。マインドフルネスで、日常生活に転がっている様々なサインを受け取れる年にしてみて下さい。