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部活を楽しむメンタルトレーニング
メンタルの鍛え方
猛暑も落ち着いてきて、部活動に打ち込みやすい季節になりそうですが、部活でやる気が出ない、試合で力を発揮できない、ということはありませんか? 調子のよさには体力だけでなく、メンタル(心)が影響することがあります。
コツコツ単語を覚えて単語力つけるように、コツコツ筋トレして体力をつけるように、メンタルも日々のトレーニングが大事になります。たとえば、「おはよう」と普通の声で挨拶したときと、「おはよう!」と大きな声で挨拶したとき、さらには、相手の目を見て笑顔で大きな声で「おはよう~!!」と挨拶したときでは、どれが一番、前向きな気分になれるでしょうか。普段の声かけや取り組む姿勢など、日常生活の積み重ねが、メンタルを強くしてくれます。
目標を持つこと
そして、何よりも大切なのはモチベーション(動機づけ)です。すなわち、「やる気」がどれだけあるかによって取り組み方も変わってきます。全国大会に出場したいという人もいれば、軽く趣味や気分転換の範囲でできればいいという人もいます。顧問の先生と部員との間でやる気に温度差が見られることもあります。ただ、その部活を楽しみたい、何らかの感動を味わいたいといった思いは同じではないでしょうか。
その気持ちを高めるには、まず一人ひとりが目標を持つことから始まります。昨日の自分よりも上手になっている今日の自分を実感できると、部活は楽しくなります。そして、部活全体で共通の目標が持てるようになると、さらにチームとしての力も発揮できるので、みんなで楽しさを分かち合うことができるでしょう。
結果よりもプロセスを
オリンピック選手を育成しているメンタルトレーナーの高妻容一氏によると、「一流選手は自身に挑戦し、技術や精神力の向上を「楽しみ」とするから、結果に動じない。二流選手は試合結果に「楽しみ」を求めるため、負けると落ち込む。三流の人は手を抜き、楽をする事が「楽しみ」と錯覚しているので向上が無い。」そうです。
勝ち負けよりも、自分が成長していく過程に楽しみを見出せるようになると、落ち込むことが少ないので、メンタルはどんどん強くなっていきます。また、楽しいと感じられると、試合の時に「勝たなければならない」から「勝ちたい」という気持ちに変わり、プレッシャーにも強くなります。
「道」を求める
オリンピックがあるとメダルはいくつ取れたか、よく騒がれますが、もし金メダルを取ることが最終目標だとしたら、その人のスポーツ人生はそこがゴールになってしまいます。年俸が高いことや上手にプレーできることに、最高の価値を見出すのだとしたら、引退後の人生は寂しいものです。
身体は衰えても、そのスポーツを通じて得られる何かを、とことん追求していくことを「~道」とも言いますが、「道」とは宇宙や自然の根本原理、道徳的な規範、美や真実の根元ともいえるもので、茶道、華道、書道、柔道、剣道、合気道など日本には道がつくものはたくさんあります。それは一生を通じて探究するもので、すぐに答えが出るものではありません。
しかし、たとえ短期間であっても、探究心や求道心をもって、自分なりの道をきわめてみると、より楽しめるようになります。すごくきれいなパスができるようにする、誰にも負けない戦略を練る、チームワークをとことん深めるなど、その部活を通じて得られる何かがあるはずです。そして、道を求める中で、心はどんどん鍛えられていき、実りある成果もついてくるのだと思います。