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相談室便り バックナンバー17

 波に乗るには

  
何をやっても続かないとき…                

 5月に入りましたが、新しい環境には慣れましたか。バイトや勉強、恋愛、習い事など何を始めても続かずに嫌になることはありませんか。何をするにも波に乗ってしまえば楽になりますが、なかなか乗れずに苦しい時期が続くこともあります。
 波に乗るといえばサーフィンですが、私は友人に連れられて少ししたことがあります。生まれたての小鹿のような立ち方でも、ボードに乗れた瞬間はちょっと感動できました。一方で、私は音楽が苦手で、音痴なのでカラオケは最初に歌うと他の人が歌いやすくなります。友人がせっかくくれたギターも、小指が届かないことを理由に「三時間坊主」で終了しました。だから、楽器が弾ける人がうらやましいです。
 人それぞれ得意不得意はあります。補助なし自転車に乗るため、子どもの頃一生懸命練習したように、最初は絶対にできるはずがないと思っても、続けることでできるようになったものはあるはずです。「継続は力なり」といいますが、どうすれば継続することができるのでしょうか。

 
真の理想は現実の延長にある

 そのためには、まず、できない現実の自分を受け入れることです。「自分はもっとできるはずだ」「こんなはずじゃない」といくら今の自分を否定してもできるようにはなりません。高い理想を掲げても達成できなければただの幻想です。周りをみると自分よりできる人はたくさんいますが、最初からできている人は一人もいません。
 その代わり、昨日の自分よりは少しだけできるようになっている人はたくさんいます。背伸びをせず、できない今の自分を認めて、身の丈に合った目標設定することから、理想の実現は始まります。 


スモールステップのススメ

 カウンセリングの分野で行動療法というのがあり、何でもハードルを低く設定して、小さなステップにすることで、乗り越えやすくする方法があります。にんじん嫌いの子供には、みじん切りにしてハンバーグに混ぜて食べさせるのと同じで、嫌な刺激でも少なくすれば慣れ親しめるようになります。
 たとえば、筋トレを毎日続けようと思ったら、1日1回以上やると決めます。50回、100回と決めてしまうと、達成できなかったとき、やる気をなくしてしまうので、1回以上なら何回やってもよいことにします。柔軟体操なら1日1分以上やると決めると、1年も経過すればかなり柔らかくなり、姿勢もよく美しいプロポーションが手に入ることでしょう。
 継続を阻む一番の敵は「完全主義」と「理想主義」です。こうあらねばならないという現実離れした高い理想と、それができない現実との落差が、気分の落ち込みを生み、目標を達成するための意欲を奪います。

 
最初の一歩は最後の一歩

 登山でも最初の一歩が一番つらいものです。先を見上げるとこんなに高い山を登れるだろうか…と精神的にこたえます。むしろ、最後の一歩の方が肉体的につらくても気分的には楽になります。勉強は机に向かうまでが、筋トレはやり始めるまでが一番しんどいです。だから、最初の一歩は最後の一歩と同じくらい価値があります。
 サーフィンは波に乗ってしまえばあとは楽に進んでいくように、何事も波に乗るまでが難しくても、乗ってしまえば楽しいものです。ギターもある程度弾けるようになれば楽しくなります(弾けたことがないので想像ですが…)。
 継続は力なり。チリも積もれば山となる。千里の道も一歩から。波に乗るまではあと少し。もう1回だけ無理をせずチャレンジしてみましょう。逃げ道や回り道もあっていいけれど、少しでも前に進める道があるなら、進んでみると今までとは違った景色が見えてきます。小さな波からトライしていれば、大都会の荒波を乗り越えるカッコいいサーファー?になれる日も近いでしょう。
 

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