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悪口は人のためならず ~信頼できる友だち作り~
どうして仲良くなれないんだろう?
友人関係のトラブルでよく耳にするのが、仲良くしていた友人に「裏切られた」というものです。遊ぶ約束をしていたのにドタキャンされたり、話しかけても無視されたり・・・ 友人だと思っていた相手にこのような態度を取られるのは、とても残念な気持ちになりますね。
ところが、よく話を聞いてみると、そういったトラブルには前ぶれがある場合もあります。表面上は仲良く見えても、心の底ではそうではないこともあるのです。急に裏切られたというよりも、日頃のつきあいの中でお互いの不信感がつのっていたようです。それはある2人の次のような会話から伺えます。
陰口の落とし穴
たとえば、A美さんとB子さんがC奈さんについての陰口を言っています。A子:「ねぇC奈ってウザクない?わたしああいうタイプ嫌なんだよね」 B子:「ほんと超うざいよねぇ。私も嫌だなぁ」。この時のA美とB子は、C奈の悪口を言い、敵にすることで同盟関係を結んでいます。C奈に対する見方が同じなので、味方同士になっています。
ところが、ここでB子の中にある疑問が生じてきます。A美はC奈のいない所で、私に彼女の悪口を言っているけど、昨日、A美はC奈と二人でいるときは楽しそうに見えたわ。だとしたらA美は私のいないところで、実は私の悪口も言っているんじゃないかしら・・・。
一方、A美も同じように思います。B子は私の意見に同調してくれているけど、もし他の誰かが私の悪口を言っていたら、調子よく話を合わせているのではないかしら・・・。B子はホント八方美人だわ。
敵の敵は味方にならない
このように、一見、人の悪口を言うことで仲間になれたような気になりますが、敵を作ることで築いた仲間関係はもろいものです。なぜなら、その関係は敵がいなくなったら成り立たなくなるからです。一人ぼっちになりたくないがために、敵を作ることで仲間を作ろうとする人がいますが、そこには、友情を育むために必要な基本的な信頼感がないので、長くは続きません。
人の悪口を言ったり聞いたりしていると、不信感ばかりがつのってきて、今度はいつ自分がそのターゲットになるのだろうかと不安になり、いつまでたっても安心できなくなります。その不安から逃れるために、また人の悪口を言って、仲間を作り、一時的な安心感を得ようとする・・・。このように敵の敵は味方にならないのです。
信頼できる友人を作るには
学校が好きで将来は養護の先生になりたいという女子生徒に、なんでそんなに学校が好きになれたの?と聞いてみたら、「人の悪口を言わない方がいいことに、中1のときに気がついた」と言っていたのが今も印象に残っています。
信頼関係というのは、学校行事や部活、勉強などに協力して取り組む中で、尊重し合い、感謝し、お互いが必要とする経験を積み重ねていくことで、自然にできてくるものです。
そこで、友人のよいところを認め、自分のよいところも認められ、やがてお互いが信頼できるようになってきます。信頼とは、信じて、頼むこと、頼ることです。人に信頼されることで、自分を信頼できるようになります。自分を信頼することで自信が持てるようになってくるのです。
そう考えると、自分に自信が持てないときに、自分のことを棚に上げて人の悪口を言いたくなるのかもしれません。「情けは人のためならず」ということわざがあります。人のためにしていれば、それはやがて自分に返ってくるという意味です。悪口でもいいことでも巡り巡って必ず自分に返ってくるものですね。