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相談室便り バックナンバー43

なりたい自分になる想像力 ~夢を実現させる臨場感~

 
将来の夢が見つからない・・・

 皆さんは将来どんな暮らしができたらいいですか。進路に関する相談では、やりたい職業がみつからない。大学は何学部を選んだらいいのかわからないなど、自分の適性や将来像が見えてこないことに焦りを感じている、あるいは夢はあっても本当に実現できるのか不安になるという話をよく聴きます。

 高校生にはまだ先の話かもしれませんが、実質賃金は減り続け、仕事の定年や平均寿命や延びていく日本社会。人工知能の台頭で今選んだ仕事がいずれなくなるかもしれない未来。そのようなニュースを聞くと、将来に不安を抱くこともあるかもしれません。

 でも、そうやって将来不安から思考停止してしまうと、ビジョンが持てないことで余計に不安になってしまうこともあります。先行きが見えてこないときに、明るい未来を築くにはどうしたらいいのでしょうか。


SF映画で見た世界

 日本の経済は低迷していたとしても、人類の科学技術は日々進歩し続けています。ブラックホールの撮影に成功した。アマゾンが宇宙コロニーを作る計画を立てているなど、宇宙旅行や火星への移住などが少しずつ現実味を帯びてきています。

 手紙が電子メールに、現金がキャッシュレスに、現実がVRに変わってきている昨今、物理空間から情報空間へ、さらには宇宙空間にまで世界は広がりつつあります。いわばSF映画のような世界が現実になってきているわけです。

 SF映画はこんな世界があったら面白いと思って、夢のような想像の世界が描かれていますが、SF、つまりサイエンス・フィクションが、サイエンス・ノンフィクションになっているのだとしたら、想像した世界はやがて現実になってくると言えるのかもしれません



認知科学の視点から見た世界

 実は認知科学の視点では、夢や目標などをありありと想像できる人ほど、それを実現しやすいと考えることができます。なぜなら、人の脳には興味のない情報はあまり入ってこないからです。

 たとえば、毎日、学校帰りに同じ道を通っていても、洋服を買いたいと思っているときはファッションの広告や他人の服装に目が向きます。お腹が減っている時はお肉屋さんのコロッケの匂いに敏感になるかもしれません。発明家は普段から疑問や問題意識を持っているからこそ、必要とされるアイデアを思いつくことができます。みんなが同じ風景を見ているようでも、その人の興味や必要性によって、見ている世界は異なり、入ってくる情報も違ってきます。

 つまり、夢や目標などのゴールを設定し、興味や関心というアンテナを立てることによって、普段は気づけなかった情報に気づけるようになり、想像した世界に関連する情報をキャッチしやすくなるのです。


夢を思い描く臨場感

 さらに言えば、その夢や目標の世界をありありと想像し、そこに自分が実際にいるかのような「臨場感」を持てるほど、現実とのつながりができてきます。想像の世界と現実の世界がつながる情報が増えてくるからです。その情報が増えれば増えるほど想像の世界に近づくことができます。

 今はなりたい職業がなくても、白紙の未来だからこそ、心のキャンパスに好きなように夢を思い描くことができます。その夢は大きくても小さくても、コロコロ変わってもかまいません。何度も消しては書き直し、ゆっくり描いても構いません。そうやって、ありありと想像を楽しむことが、実現する力になってきます。

 10年後、20年後、皆さんはどこにいて、そこには誰がいて、どのようなことをしているか。どんな未来を過ごしたいでしょうか。皆さんの明るい未来はその想像力にかかっているのかもしれません。

 もうすぐ夏休みですが、ちょっとでも興味のあることがあればオープンキャンパスや職業体験に参加してみるなど、より臨場感を高める経験ができると、少しずつなりたい自分に近づいてくると思います。

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