ホーム ≫ 相談室便り バックナンバー34 ≫
これからの時代の夢探し ~コンピュータに負けない能力とは~
毎日がつまらない
「学校がつまらないから行きたくない。」「今は好きなことだけやっていたいけど、将来が心配だ。」という声を生徒から聞くことがあります。一方で、「若いうちは苦労した方がいいよ。」「苦しみのあとに楽しみが待っているのだから。」という意見をいう大人もいます。
今は嫌なことでも進んで取り組んだ方が、将来、本当に幸せになれるのでしょうか?2045年には人間よりも人工知能による研究能力の方が高くなると予測している研究者もいます。人工知能やロボットが人間に代わって仕事をするようになっていく中で、私たちはどのような能力を磨きながら、どのような仕事を担っていけばいいのでしょうか。
求められる力
メディアアーティストの落合陽一氏によると、コンピュータに使われる人間ではなく、コンピュータを使う側の人間になるには、モチベーションが大切であるといいます。コンピュータはあれをやりたいこれをやりたいとは言いません。やりたいことや楽しいという気持ちがあれば、コンピュータを使う立場になれるというのです。
また、人工知能学者のベン・ゲーツェル氏によると、これからの時代は専門的な領域に特化したスペシャリストよりも幅広い領域を担えるジェネラリストな人材が求められているといいます。
近年、リベラルアーツ(教養学科)が注目されていますが、いろんな分野に精通している方がコンピュータを使う側になれるというわけです。いろんなことに関心や興味を持ちながら、コンピュータをどうやって活用していくかという発想が求められているようです。
人間らしさ、自分らしさ
このように考えると、より“人間らしさ”を身につけることがコンピュータに負けない能力になってきます。実業家の堀江貴文氏は、自分の好きなことに没頭して、3つのタグをもったレアな人間になることを勧めています。たとえば、「歌手活動している」「女子高生」がさらに「ムエタイ」をやっているとなると、とてもユニークな肩書きになり、それだけで希少価値が出るというのです。
計算が速くできる力でナンバーワンを競ってもコンピュータには勝てません。ナンバーワンよりもオンリーワンを目指して、希少価値を高めることができれば、結果的に自分にしかできない仕事ができるようになるわけです。
好きなことの掛け合わせで、いくつかの色を混ぜれば、自分の色ができてきます。いろんな経験を味わえば、自分の持ち味ができてきます。人間らしさとは、さらに言えば自分らしさを磨くことにつながってきます。
「苦しみ」から「楽しみ」へ
つまり、自分の好きなことや楽しいことをとことん追求していくことが、これからの時代に必要な能力を身につけることになるのかもしれません。苦しみに耐えながらやるような単純労働やルーティン作業など、やらされるような仕事はロボットがやるようになるともいわれています。
もちろん、自分だけが楽しいで終わっては仕事にはなりません。ただ楽しむだけでは娯楽が堕落になってしまうこともあります。あくまでも大切なのは「楽しむ」を「楽しませる」に変えることです。人を楽しませられれば、自分ももっと楽しめるようになります。自分が磨いた能力や追求してきた興味で人を楽しませてみて、それで喜ぶ人が多ければ多いほど、仕事(収入)にもつながっていきます。
学校生活がつまらないと思ったときやつまらなくて苦しんでいる友人を目にしたとき、そこにビジネスチャンスが転がっています。必要は発明の母です。創意工夫、試行錯誤して、苦しみを楽しみに変える力を学校で身につけられたら、きっと将来の仕事にもつながってくるでしょう。